「そろそろ転職した方がいいのかな。」
「とはいえ、どう動いたらいいのかわからない。」
「転職エージェントに登録してみたけど、期待していたものと違った。」
と、感じることもあるのではないでしょうか。
私はこれまで、30人以上の転職エージェントと面談し、100回以上のカジュアル面談や面接を経て、年収250万円以上のアップとフルリモート勤務を実現しました。その経験から見えてきたのは、転職エージェントを「ただの求人紹介者」としてではなく、「対等なビジネスパートナー」として活用することの重要性です。
本記事では、転職エージェントの仕組み、転職エージェントを最大限活用するための具体的な方法を私の実体験も交えてお伝えしていきますので、最後までご覧ください。
転職エージェントとは?
転職エージェントの定義と仕組みを解説していきます。
転職エージェントの定義
転職エージェントとは、求職者と企業の間に入り、転職活動をサポートするサービスのことです。企業から採用の依頼を受け、その企業にマッチする人材を探し、紹介します。企業にとっては効率的な採用活動、求職者にとってはスムーズな転職活動を実現する、双方にとってメリットのある仕組みです。
転職エージェントは、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策、年収交渉、入社日調整など、転職に関わるあらゆるプロセスを一貫してサポートしてくれます。転職活動を一人で進めるのが難しい人にとって、うまく活用すれば時間と労力の短縮に繋がるでしょう。
転職エージェントの仕組み
転職エージェントのビジネスモデルは、「成功報酬型」で成り立っています。これは、求職者がエージェント経由で企業に入社し、初めて企業から報酬を受け取る仕組みです。この報酬は、その人の年収の約30%〜35%が一般的です。
この仕組みを深く理解することで、エージェントの行動原理が見えてきます。彼らは、より多くの成約を獲得し、かつ年収の高い人材を決定させることで、自身の収益を最大化しようとします。そのため、年収交渉を積極的に行ってくれたり、早期の転職を促したりする場合があります。この構造を理解した上で、エージェントとどのように付き合うべきか、戦略を立てることが非常に重要です。
活用するメリット
転職エージェントを活用することで、転職活動をより効率的かつ有利に進めることができます。
非公開求人を含む豊富な求人情報
エージェントが保有する求人の中には、一般には公開されていない非公開求人が多数あります。例えば、企業が特定のスキルを持つ人材をピンポイントで探していたり、新規事業の立ち上げなど、まだ社外に公表できないプロジェクトの人材を募集していたりするケースです。転職エージェントに登録することで非公開求人に出会える可能性があります。
履歴書・職務経歴書の添削、面接対策などの手厚いサポート
履歴書や職務経歴書は、あなたの魅力を企業に伝えるための重要な書類です。エージェントは、数多くの転職事例を見てきたプロの視点から、あなたの強みが最大限に伝わるように添削してくれます。
面接対策では、応募先の企業が過去にどのような質問をしたか、どのような人材を求めているかといった、エージェントならではの内部情報をもとにアドバイスを受けることができます。私も、面接前にエージェントから「この企業は、チームでの協調性を特に重視しているので、過去のチームでの成功体験を話すと良いでしょう」といった具体的なアドバイスをもらい、本番でスムーズに話すことができました。
企業との年収交渉や入社日調整を代行
内定が出た後の年収交渉や入社日の調整は、自分一人ではなかなか難しいものです。エージェントが間に入って交渉してくれることで、希望条件を伝えやすくなり、より良い条件で転職できる可能性が高まります。
活用するデメリット
良い面ばかりに目を向けていると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。デメリットもしっかりと理解しておきましょう。
転職エージェントの質にばらつきがある
担当者によって、提案される求人の質やサポートの手厚さが大きく異なります。経験豊富なベテランもいれば、経験の浅い若手もいます。また、担当者の専門分野や得意な業界が、あなたの希望と合わないケースもあります。
私の場合、あるエージェントは「あなたのスキルなら、もっと高い年収を目指せますよ」と積極的に提案してくれた一方で、別のエージェントは「このくらいの年収が妥当でしょう」と、あまり積極的ではないケースもありました。このように、担当者の質によって、得られる情報やチャンスに大きな差が生まれます。
自分のペースで進めにくい場合がある
エージェントは、成功報酬をビジネスモデルとしているため、どうしても早期の転職を促される場合があります。例えば、「この求人は締め切りが近いので、今すぐ応募しましょう」「他の人も応募しているので、早く意思決定しないとチャンスを逃しますよ」といったプレッシャーを感じることもあるでしょう。
自分のペースでじっくりと検討したい人にとっては、このようなプレッシャーはストレスに感じてしまうかもしれません。しかし、エージェントの言葉を鵜呑みにせず、あくまで自分のペースを守ることが重要です。
必ずしも希望に沿った求人が見つかるとは限らない
「年収1000万円以上で、フルリモート、残業なし」といった理想を高く掲げても、あなたのスキルや経験、市場の状況によっては、必ずしも希望に沿った求人が見つかるとは限りません。
エージェントも、あなたの市場価値を踏まえた上で、現実的な提案をしてきます。もし希望通りの求人がない場合は、なぜ希望が叶わないのかをエージェントに聞き、「自分のスキルセットで、どうすれば希望を叶えられるのか」という視点で、今後のキャリアプランを再構築する機会と捉えることもできます。
【マインド編】転職エージェント活用の注意点
転職活動を成功させるためには、エージェントに対するマインドセットが非常に重要です。
あなたはお客様ではなく商品
言葉を選ばずにいえば、転職エージェントにとってあなたは「お客様」ではなく「企業に紹介する商品」です。エージェントがあなたを企業に売り込み、採用が決まって初めて報酬が発生するため、転職エージェントはあなたに商品価値があるかを見定めています。
ビジネス構造を理解しておくことで、「なぜこの求人を紹介してくるのか?」「この担当者は何を考えているのか?」といった、エージェントの行動の意図を冷静に読み取れるようになります。
例えば、一見希望と異なる求人を紹介されたとしても、「もしかしたら、この求人から私の潜在的な強みを見出してくれたのかもしれない」とポジティブに捉えることもできます。一方で、成約を急かされていると感じたら、「報酬のためかな」と一歩引いて冷静に判断することもできます。
期待せずに利用価値があるかで判断する
エージェントとの付き合い方で最も重要なのは、「この人は私のことを考えてくれている」と期待しすぎないことです。「この担当者からどんな価値を得られるか」という視点で、ドライに付き合うことが成功の鍵となります。
私も、初回面談で必ず「この担当者からどんな求人情報を得られるか」「面接対策でどんなノウハウを持っているか」「この担当者は、私をどんな商品として売り込もうとしているのか」といった利用価値を見定めていました。もし価値を感じられなければ、深入りせず、別のエージェントに切り替えることも重要です。
意思決定は100%自己責任
エージェントはあくまでも転職活動のサポート役であり、最終的な意思決定はすべてあなた自身が行う必要があります。内定承諾後、「エージェントに勧められたから入社したけど、なんか違った」と後悔しても、責任は誰も取ってくれません。
「なぜこの会社に入社するのか」「この会社で何を成し遂げたいのか」という問いに対して、自分の言葉で明確な答えを持てるまで、決して安易な決断をしないようにしましょう。エージェントはあくまで情報提供者であり、あなたの人生の選択を決めるのはあなた自身です。
【準備編】転職エージェントに登録する前にやるべきこと
転職エージェントに登録する前に、しっかりと準備をすることで、その後の活動がスムーズに進みます。
職務経歴書と履歴書の作成
職務経歴書と履歴書は、あなたの転職活動における顔です。エージェントとの面談時にも必須となります。登録する前に、まずはこれまでの職務経験や実績を整理し、具体的な数字や成果を交えながら作成しましょう。
例えば、「売上を伸ばした」ではなく、「前年比150%の売上アップに貢献した」といったように、定量的な事実を盛り込むことが重要です。これにより、あなたの貢献度が明確になり、エージェントも企業にアピールしやすくなります。
キャリアの棚卸しと自己分析
「自分は何ができるのか?」「何が好きなのか?」「どんなキャリアを歩みたいのか?」これらを深く掘り下げておくことが、納得のいく転職活動の第一歩です。転職理由も明確にしておきましょう。
- スキル・経験の棚卸し:これまでの仕事で培ってきたスキルや経験を洗い出します。
- 強み・弱みの分析:自分の得意なこと、苦手なことを客観的に見つめ直します。
- 価値観の明確化:仕事において何を大切にしたいのか、どんな働き方をしたいのかを考えます。
これにより、エージェントに希望条件を的確に伝えられるようになります。
転職の軸を整理する
キャリアの棚卸しと自己分析をもとに、「転職で何を最も重視するか」という転職の軸を明確にしておきましょう。
- 年収:最低ラインはいくらか、希望はいくらか。
- 働き方:フルリモート、フレックス、残業時間など。
- 仕事内容:どんな業務に携わりたいか、どんな役割を担いたいか。
- 企業のカルチャー:成長志向か、安定志向か、チームワークを重視するか。
これらに優先順位をつけて整理しておくことで、求人選びのブレがなくなり、エージェントもあなたの希望に沿った求人を探しやすくなります。
【実践編】転職エージェントを最大限に活用する6つのステップ
ここからは、私が年収250万円アップとフルリモート転職を叶えるために実践した、具体的な6つのステップを紹介します。
ステップ1:複数の転職エージェントに登録する
まず、転職エージェントは1社ではなく、複数社に登録することが鉄則です。
総合型と特化型の違い
転職エージェントには、総合型と特化型があります。
- 総合型エージェント:リクルートエージェント、doda、マイナビエージェントなど。幅広い業界・職種の求人を扱っており、多くの選択肢の中から転職先を探したい人向け。
- 特化型エージェント:ギークリー、レバテックキャリア(IT・Web業界)、MS-Japan(管理部門)など。特定の業界や職種に特化しており、専門性の高い求人や、業界に詳しい担当者からのサポートを受けたい人向け。
総合型2〜3社、特化型2〜3社以上登録がおすすめ
私は総合型と特化型を合わせて5〜6社登録していました。総合型で大まかな市場動向を把握し、特化型で専門性の高い求人を探す、という使い分けです。
複数登録すべき理由
- 求人情報の比較:1社だけでは出会えない求人に出会える可能性が高まります。
- 担当者との相性:もし担当者との相性が悪くても、別のエージェントに頼ることができます。
- 客観的な意見の獲得:複数の担当者から異なる視点のアドバイスをもらうことで、より客観的な判断ができるようになります。
総合型エージェント選定方法・活用方法
大手総合型エージェントは、まずは求人数と実績で選びましょう。活用する際は、自分の希望を明確に伝え、「この領域に強い担当者をお願いします」と依頼するのも一つの手です。
特化型エージェント選定方法・活用方法
特化型は、自分の希望する業界・職種に特化したエージェントを選びます。たとえば、IT業界のエンジニアであれば「レバテックキャリア」、といったように、専門性の高いエージェントを選ぶことで、より質の高い情報や求人に出会える可能性高まるでしょう。
ステップ2:初回面談で自己開示して希望を具体的に伝える
エージェントとの初回面談は、あなたの転職活動の方向性を決める重要な場です。
事前に職務経歴書と履歴書を共有する
面談前に書類を共有しておくことで、面談当日の話をスムーズに進められます。
他の転職エージェントとの違いを確認する
「御社の強みは何ですか?」「他社と比べてどんな求人が多いですか?」と質問することで、そのエージェントの特徴を把握し、上手に使い分けることができます。
経歴、転職の軸、希望条件を端的に伝える
「なぜ転職したいのか」「どんな仕事がしたいのか」といった転職の軸を明確にし、希望年収や勤務地、フルリモートといった条件も具体的に伝えましょう。このとき、「フルリモートは必須です」のように希望条件を断言することで、エージェントも無駄な求人を紹介しなくなります。
ステップ3:積極的に求人情報を確認し、フィードバックを返す
エージェントから紹介された求人に対しては、フィードバックを返すことが重要です。
紹介された求人には必ず目を通し、興味の有無やその理由を明確に伝える
「この求人は○○という理由で興味があります」「この求人は△△という理由で希望と異なります」といったように、「なぜそう思うのか」を具体的に伝えることで、エージェントはあなたの希望をより深く理解できるようになります。
フィードバックを繰り返すことで、担当者の求人選定精度が高まる
このフィードバックのやり取りを繰り返すことで、担当者のあなたに対する理解度が深まり、より精度の高い求人を紹介してくれるようになります。
合わない求人ばかり紹介されるなら利用停止も検討する
もし何度フィードバックしても、的外れな求人ばかり紹介される場合は、そのエージェントとは相性が悪い可能性があります。「このエージェントは、私のことをあまり理解してくれていないな」と感じたら、無理に続ける必要はありません。
ステップ4:選考対策を徹底的に活用する
選考対策は、エージェントの最も価値を発揮する部分です。徹底的に活用しましょう。
履歴書・職務経歴書の添削は積極的に依頼
職務経歴書は、転職活動の勝敗を分ける重要な要素です。複数社のエージェントに添削を依頼し、より良いものに仕上げていきましょう。
企業の質問傾向など、エージェントならではの情報を引き出す
「この企業はどのようなスキルや経験を重視していますか?」「過去の面接ではどんな質問が多かったですか?」といった具体的な質問をすることで、エージェントが持つ貴重な情報を引き出せます。
想定質問に対する回答をドキュメントにまとめ、フィードバックをいただく
面接で聞かれそうな質問に対する回答を事前に作成し、エージェントにフィードバックをもらいましょう。これは、面接本番で自信を持って話すための、非常に効果的な練習方法です。
模擬面接をお願いする
ぶっつけ本番で面接に臨むのは危険です。エージェントにお願いして、模擬面接をしてもらいましょう。緊張感のある中で練習することで、本番でのパフォーマンスを大きく向上させることができます。
ステップ5:面接後
面接が終わったら、すぐにエージェントに連絡を取りましょう。
企業側からのフィードバックをいただく
面接の合否に関わらず、企業からフィードバックをもらうことは、次の面接に活かす上で非常に重要です。
転職エージェント目線でのフィードバックをいただく
転職エージェント目線でのフィードバックをもらいましょう。
フィードバック内容をもとに改善する
フィードバックをもとに、次の面接に向けて回答内容や話し方を改善していきましょう。
ステップ6:内定後
内定が出たら、いよいよ最終段階です。
内定後の不安点を確認
入社後の働き方や待遇など、気になる点はすべてエージェントを通じて確認しましょう。
内定後の条件交渉
年収や入社日など、希望条件についてエージェントに交渉を依頼しましょう。「内定は嬉しいですが、現職の待遇と比較して年収をもう少し上げていただけないでしょうか」といったように、具体的な交渉材料を用意しておくことが重要です。
内定承諾するかの意思決定は100%自己責任
内定承諾は、あなたのキャリアにおける重要な決断です。「この会社で本当に働きたいか」をもう一度自問自答し、納得した上で決断しましょう。
転職エージェント活用のコツ
ここでは、転職活動中にありがちなトラブルを回避し、よりスムーズに活動を進めるためのコツを紹介します。
担当者との相性が合わないと感じたら
「なんだか話が合わないな」「提案される求人が的外れだな」と感じたら、無理に付き合いを続ける必要はありません。
担当者の変更を依頼する
まずは、そのエージェントサービスに「担当者の方と少し相性が合わないと感じたので、別の方に変更していただくことは可能ですか?」と、正直に伝えてみましょう。
別サービスを利用し、複数の視点からアドバイスをもらう
担当者の変更が難しい場合や、他の担当者も合わないと感じたら、別の転職エージェントに乗り換えることも視野に入れましょう。複数のエージェントからアドバイスをもらうことで、客観的な視点を持つことができます。
転職を急かされていると感じたら
「早く決めないと求人がなくなりますよ」「このチャンスを逃したらもったいないですよ」といったように、転職を急かされていると感じる場面があるかもしれません。
転職エージェントは「成約」がゴールであると理解しておく
前述したように、エージェントは成功報酬型のビジネスモデルで成り立っています。そのため、早期の成約を目指すのは当然のことだと理解しておきましょう。
他社と比較検討していることや、自身の考えを正直に伝える
「今、他のエージェントや企業とも話を進めており、じっくりと比較検討したいです」と正直に伝えることで、相手もあなたの状況を理解し、無理なプッシュは減るでしょう。
転職しない時期でも定期的に面談する
転職エージェントは、転職活動をしているときだけ使うものではありません。
市場の動向や自身の市場価値を知る情報収集の場として活用する
「今は転職を考えていませんが、市場の動向や、自分のスキルセットがどのくらい評価されるのか知りたいです」といった目的で、定期的にカジュアル面談をしてみましょう。あなたの市場価値を把握しておくことは、今後のキャリアを考える上で非常に役立ちます。
いざ転職したいと思ったときにスムーズに活動を始められる
普段から関係性を構築しておけば、いざ転職を考えたときにスムーズに活動を始められます。
6. まとめ:転職エージェントは対等なビジネスパートナーとして活用
転職エージェントは、あなたの転職活動を成功に導く強力な味方です。しかし、すべてを任せきりにするのではなく、「自分自身のキャリアは自分で決める」という主体的な意識を持つことが何よりも重要です。
エージェントを「対等なビジネスパートナー」として捉え、お互いが協力し合うことで、納得のいく転職実現に近づけるでしょう。
本記事でご紹介したノウハウが、あなたの転職活動の成功の一助となれば幸いです。
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