「1on1って、何を話せばいいかわからない」
そんなふうに感じたことはありませんか?
上司との1on1ミーティング。
本音を話せば評価に影響するかも…と思うと、つい当たり障りのない業務報告で終わってしまう。
かといって、自分のキャリアや気持ちをうまく言葉にできず、モヤモヤが残る――。
私自身もそんな悩みを抱えていました。
本記事では、「1on1で話すことがない」と感じている方に向けて、話題が生まれにくい理由と、自己理解につながる話し方のヒントをお伝えしますので、最後までご覧ください。
なぜ1on1で話すことがなくなるのか?
多くの人が「1on1で何を話せばいいのかわからない」と感じています。その背景には、“評価される不安”や“慣れのなさ”が潜んでいます。ここでは、1on1で話が広がらない3つの理由を紐解きます。
話題が業務報告に偏る
1on1の時間、つい「業務の進捗報告」で終わってしまうことはありませんか?
「今週は○○を対応しました」「来週はこのタスクを予定しています」――
そうしたやり取りで1on1が終わってしまうと、なんとなく物足りなさを感じる人も多いのではないでしょうか。
本来の1on1の目的は、業務の棚卸しではなく人材育成や信頼関係の構築。
しかし、上司も部下も忙しく、意識していないと報告会になってしまうのが現実です。
「もっと深い話がしたいけど、何を話していいかわからない」
そんな悩みが出てくるのも自然なことなのです。
上司に評価される不安
1on1の相手である上司は、多くの場合あなたを評価する立場でもあります。
そのため、「仕事の悩みを正直に話すとネガティブに見られるのでは…」
「キャリアに迷っていることを言うと、やる気がないと思われるかも…」
という不安を抱きやすくなります。
結果として、当たり障りのない話で終わらせようとする。
でも、それでは本当の課題や可能性にはたどりつけません。
評価されることを恐れるあまり、自分の意志や感情を押し殺してしまう――
その姿勢が1on1を「話すことがない時間」にしてしまっているのです。
話題を自分で決める経験の少なさ
学校でも会社でも、「与えられた問いに答える」ことは多くても、
「自分から話題を設定する」という機会は意外と少ないのではないでしょうか。
1on1では「自由に話していいよ」と言われることもありますが、
いきなり自由に話せと言われても、戸惑ってしまうものです。
これは能力や意欲の問題ではなく、慣れていないだけ。
自分の思考や感情にアクセスする習慣がないと、何を話すべきか見えなくなるのです。
転機は「問い」から生まれる
自分の考えに気づくきっかけは、意外な問いから始まることがあります。この章では、筆者自身が上司の問いかけによって思考が深まり、行動が変わった体験をお伝えします。
上司からの問い「この会社で働き続けるとしたら、どんなことをしたい?」
私が初めて1on1を自己理解の場と実感したのは、ある日の上司の一言がきっかけでした。
「この会社で働き続けるとしたら、どんなことをしたい?」
意表を突かれました。
いつもは「仕事の進捗はどう?」「困ってることある?」という問いばかりだったので、
キャリアや価値観に踏み込むような問いに、正直どう答えていいかわかりませんでした。
でもこの問いが、私の中の思考を揺さぶったのです。
答えに詰まりながらも答えた体験
私は少し黙った後、こう答えました。
「……もっと、提案力を活かせるような仕事をしたいかもしれません」
それは自分でもうまく言葉にできていなかった気持ち。
でも、口にしたことで「それが自分の望みだったのか」と気づいた瞬間でもありました。
上司はそれを受け止め、こう返してくれました。
「じゃあ、部署異動という選択肢もあるよね」
その一言が、自分の視野を大きく広げてくれたのです。
行動の変化のきっかけに
この会話をきっかけに、私は本気で「この先どう働きたいか」を考えるようになりました。
そして、上司と何度か話し合いを重ねた結果、実際に部署異動を希望し、新たな業務領域にチャレンジすることができました。
思いがけない問いかけから生まれた自己理解が、自分のキャリアの方向を動かしたのです。
1on1が“自己理解の場”になる理由
なぜ1on1が自己理解につながるのか? それは、言葉にすることで初めて考えや想いが形になるからです。この章では、1on1を内省の場として活かすための視点を整理します。
言語化で思考が整理される
人は「話すことで考える」生き物です。
頭の中でぼんやりしていたことも、誰かに話すことで
「あ、自分はこう考えていたんだ」と整理されていく。
上司との1on1は、まさに思考の言語化のトレーニングになります。
日々の仕事に追われる中で、意識的に自分の考えを言葉にする場があることは、
自分自身を見つめ直す貴重なチャンスです。
本音に触れることで意志が見える
話しているうちに「本当はこう思ってたんだな」と気づくことはよくあります。
上司との1on1は、信頼関係が築けていればなおさら、普段は出せない本音に触れるきっかけになります。
その本音こそが、あなたの「Will=やりたいこと」の源泉。1on1を通じて意志が見えてくると、自分の働き方や価値観もクリアになります。
小さな気づきが行動を変える
「自分はこうありたい」という気づきが生まれると、
日々の行動が少しずつ変わっていきます。
私は1on1で自分の価値観に気づいてから、「今の仕事をどう活かしていくか?」という視点で日常業務に取り組むようになりました。
その結果、自然とアウトプットの質も変わり、上司からの評価も上がったのです。
本音はどこまで出していい?
「本音を出していいのかな…」という不安は誰にでもあります。この章では、上司との信頼関係を築きながら本音を共有するための考え方を紹介します。
感情ではなく「思考のプロセス」を共有する
本音を話すといっても、「なんでこんなことやらなきゃいけないんですか!」と感情をぶつけるのは逆効果です。
大切なのは、思考のプロセスを言葉にすること。
例えば
「最近この業務について考えていて、自分にはこういう傾向があると気づきました」
「いま迷っていることがあって、自分の中でも整理しきれていないのですが…」
こうした考えの途中を共有する姿勢が、1on1の質を高めてくれます。
正解より「迷っていることを言語化」することが大事
「自分の答えを持っていないと話せない」と思っていませんか?
でも、上司は完璧な答えを求めているわけではありません。
むしろ、迷っていること・考えていることを素直に言語化することで、上司もアドバイスや支援がしやすくなります。
迷っている=弱みではなく、成長のサインなのです。
1on1で自己理解につながるテーマ例
いざ1on1が始まっても「やっぱり何を話せばいいのかわからない…」という方へ。ここでは、実際に使える自己理解につながるテーマを紹介します。
自己理解に繋がる10の具体的な話題
1.最近モヤモヤしたこと
2.楽しい・やりがいを感じた瞬間
3.苦手意識のある業務と理由
4.今の仕事に対する満足度
5.他部署で気になる仕事や人
6.10年後、どうなっていたいか
7.今後やってみたい挑戦
8.チーム内での役割と自分の価値
9.最近もらったフィードバックと感じたこと
10.この会社で自分が一番貢献できそうな分野
1on1の前にこのリストを見て、1つだけでも用意しておくと、会話がグッと深まるはずです。話してみたいなと思うテーマがあれば、ぜひ活用してみてください。
最後に:1on1は「自分の棚卸しの場」
1on1は、ただの報告の場ではありません。自分の価値観やキャリアの方向性と向き合い、未来へのヒントを得る場でもあるのです。
話すことがないと感じるのは、「まだ自分の中を深く覗いていない」だけかもしれません。
ちょっとした問いかけから、あなたの未来は少しずつ形を変えていきます。ぜひ、自分を見つめる時間として活かしてみてください。
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